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No.106 PET患者の待機場所を設けた場合の従事者の線量増加量

PET検査を行う施設でFDGを投与された患者の体内残存放射能を減衰させるために減衰待ち場所を設けた場合の職員被曝線量の増加はどの程度になりますか?

記事作成日:2011/02/07 最終更新日: 2019/02/13

公衆の線量限度を超える可能性があるので適切な防護が必要

適切な防護がないままに検査後の待機場所を設けると職員の被曝が線量限度を超えることが考えられます。

適切に防護すれば公衆の線量限度を下回ります

しかし、適切な遮蔽や工夫があれば、職員の被曝の増加は線量限度を下回る程度とできます。

待機場所を設けることによるトレードオフ

検査後の待機場所を設けることにより、公衆の被曝は低減する一方で職員の被曝は増加します。
このように施設に退出待ちの患者待機場所を設けることによる一般公衆の被曝と従事者の被曝はトレードオフの関係になります。
しかし、職員の被曝を減らすために検査が終わった患者を直ちに退出させてもよいことにするのは、説明が困難であるとも思われます。

資料

FDG を投与された患者の体内残存放射能を減衰させるために減衰待ち場所を設けた場合の職員被曝線量増加の程度の推計の試み

関連FAQ

RIを投与された患者の検査後の「待機室」は、管理区域とする必要がありますか?

管理区域の目的

管理区域は、放射線の線源を適切に管理し、人への被ばくを制限することを制限することを目的に設定するものです。
このため、病院または診療所の管理者は、外部放射線の線量当量や空気中の放射性同位元素の濃度及び放射性同位元素による表面汚染密度が管理区域の基準を超えるおそれのある場所を特定し、さく等及び標識を設けることにより人の出入りを規制するとともに、これを管理区域として設定しなければなりません
(医療法施行規則第30条の16)。
なお、これ以外の場所であって、一時的に管理区域設定の基準となる線量等を超えるおそれのある病室等についても一時的に管理区域を設ける等により、適切な防護措置及び汚染防止措置を講じることが必要です。

医療施設内の管理区域

医療施設内の管理区域としては、次のものがあげられます。
エックス線診療室、診療用高エネルギー放射線発生装置使用室、放射線照射装置使用室、診療用放射線照射器具使用室、放射性同位元素装備診療機器使用室、診療用放射性同位元素使用室、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室貯蔵施設、廃棄施設、放射線治療病室及び関連施設

「待機室」の定義の問題になるのかもしれませんが、扱う患者数が少なく「陽電子待機室」を陽電子診療室に設ける必要がないと考えられる場合に、何らかの目的のためにRIを投与され検査を受けた後の患者を滞在させる区域を適切な行為基準や施設基準を課すことで「監視区域」等とすることは、理屈の上では可能かもしれません(管理区域を退出した患者を滞在させる区域を作ってはならないというルールを全く無条件に定めるのはおそらく不合理なので)。

ICRP2005年勧告ドラフト214項にあるような配慮をPET診療でどのように具現化するかのアイデアが今後求められるでしょう(狭義の施設基準での使用規定ではなく、「本来あるべき」、「当面目標とすべき」患者にとって必要な施設環境の整備という観点で)。

施設環境評価チェックリスト